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漢方外来だより
(8) 冷 え 症

冷え症は、冬に症状がつらくなるものですが、オフィスなどクーラーが強く効いていたり、冷たい物を食べたり飲んだりする現代では夏でも冷えに悩まされることがあります。冷え症は、それ自体は病気ではありませんが、中医学的にみると、冷えが慢性的に続くと疾病の原因となることもあります。

中医学では、四肢の肘、膝までひどく冷たい状態を手足厥逆(しゅそくけつぎゃく)といい、それを治療するための代表的処方として四逆湯(しぎゃくとう)、当帰四逆湯(とうきしぎゃくとう)、四逆散の3つがあります。四逆湯は乾姜(かんきょう)、附子(ぶし)により陽気を補う薬(陽気不足の治療)、当帰四逆湯は当帰、芍薬(しゃくやく)、桂枝(けいし)により血を補いめぐらし温める薬(血虚受寒の治療)、 四逆散は柴胡(さいこ)・枳実(きじつ)により気をめぐらす薬(陽気郁阻の治療)です。手足の冷えという1つの症状でも、原因、機序の違いにより、治療方針、薬剤が異なってきます。以下に病因別に更にいくつかの処方を紹介してみましょう。

1.陽気不足

手足だけでなく、腰まで冷えを感じるもので、消化器にまで影響が及ぶと下痢を伴う場合があります。 四逆湯(しぎゃくとう)はエキス剤はありませんが、 真武湯(しぎゃくとう)(しんぶとう)が代わりとして近いものとなります。

足腰の力が弱まり、夜間尿が多い場合は八味地黄丸(はちみじおうがん)、尿量が多く腰から下の痛みがある場合、苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)が適応となります。

2.血虚受寒

下腹部の冷え、痛みの症状が加わることもあります。エキス剤では当帰四逆湯に呉茱萸(ごしゅゆ)、生姜(しょうきょう)が加わり、より暖める作用の強い 当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)があり、しもやけなどの症状に多く使われています。ただ、構成生薬の1つである木通(もくつう)は腎機能の低下している人には、それを更に悪化させる可能性があるため注意が必要です。

当帰建中湯(とうきけんちゅうとう)が内容的に当帰四逆湯に近く、月経痛などの症状を改善させることもあります。月経不順、口唇乾燥、下腹部痛の症状には湯経湯(うんけいとう)なども使用されます。

3.陽気郁阻

このタイプの人は四肢が冷たくても、その人自体が寒がりということはなく、温める作用のある薬は用いず、 四逆散などの気をめぐらす薬が必要となります。 四逆散は多くは、イライラ・腹痛などの症状に用いられます。

漢方以外でも、冷え症の人、体を温める作用のある食べ物、生姜、にら、葱、根菜類などを多く食し、冷やす作用のある果物類、うり類、物理的に冷やしてしまう冷たい飲料、アイスクリーム等は、自分の体質を考慮しながら量を調節することも大切です。着衣においても、 "頭寒足熱"というように、下半身を冷やさない工夫をすることも必要でしょう。

参考文献:いかに弁証論治するか/東洋学術出版社


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